技術情報公開サイト
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更新日 2025年3月1日
伝統的な木造建築、調度や美術工芸品、絵画や紙資料などには、木材、布や紙など天然の有機物が使われています。また接着剤としては膠や糊なども用いられています。
これらは常に虫害や菌害(生物劣化)のリスクに曝されており、管理状態によっては、深刻な劣化が発生している場合があります。また水害などで水損した場合には劣化のリスクは急激に高まります。
生物劣化への対応策は、これまで化学薬剤に依存する手法が中心でしたが、安全性や環境影響の観点から、より安全で効果的な手法が求められつつあります。
「湿度制御温風処理」は、新規な手法の一つで、進行性の生物劣化を受けている対象の温度を60℃程度まで昇温し、一定期間保持することで劣化原因となっている昆虫を駆除したり、菌類を不活化させる手法です。
この処理は、欧州などでは文化財への適用が普及しつつありますが、木材・絹・麻・紙などを多用する日本の文化財については、効果と対象への影響などに関する知見がなく、これまで適用事例はほとんどありませんでした。
過去十数年の基礎研究や実用化研究を経て、2023年度から文化財建造物への適用がはじまり、現在、美術工芸品や書誌などの劣化対策手法としての検討もはじまっています。
本サイトでは「湿度制御温風処理」に関する情報をお知らせします。
「湿度制御温風処理」技術情報公開サイト準備会
2025/2/20 サイトを公開しました。
2025/2/21 東京文化財研究所取材のフォーラム「ポスト・エキヒューム S の資料保存を考える」において技術紹介を行いました。
2025/2/25 展示ブースへのご来場ありがとうございました。頂いたご質問を整理し、本サイト上で順次回答を公開させて頂きます。また頂いたご意見を参考に今後の研究・開発を進めさせて頂きます。
2025/3/1 奈良文化財研究所 保存科学研究集会事務局からのお知らせです。
『埋蔵文化財ニュース 187』が下記URLのとおり全国遺跡報告総覧に掲載されました。(発行年月日:2025年2月28日)
掲載URL:https://sitereports.nabunken.go.jp/ja/141596
DOI:https://doi.org/10.24484/sitereports.141596
(反映まで少々時間を要するとのことです)
●2024年12月14日の「保存科学研究集会 2024 」において湿度制御温風処理について講演がありました。